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アトリエの北側には大きな窓があります。この窓から、庭のエンジュや椿、ツツジ、山茶花など、眺めることができました。エンジュには、実を啄ばもうと野鳥も多く飛んでくるので、大変楽しい窓なのでした。
しかし、今回、増築するのはこの窓側になります。季節的には、庭木を移転するにふさわしい時期ではないようですが、仕方なく庭を大改造です。生かす木々は、ていねいに掘り起こし、移動します。


屋根よりはるかに高く育ったエンジュは倒すことになりました。父がはしごを伸ばして登り、枝にロープを結びます。下で待つ私がそのロープの端を握って、父がのこぎりで枝を切るのを待機します。もう折れるぞ、という辺りで父が「ひっぱれ!」と合図をし、私がロープを引きます。ロープで方向を定めて引くことで、枝が窓や屋根、他の庭木を痛めることのないよう、安全ルートで落下させるのです。枝を落とすたび、木はバランスを崩し揺れるので、高所恐怖症の父はずいぶんと怖かったようです。


6本ほど枝を落とすと、エンジュはスラリとした幹だけとなりました。父は木の上部にロープを結び、はしごから降りて、ロープの端を私に渡します。「木の高さと、ロープの長さは同じくらいだから、なるべく端を持ってひっぱれよ」とのこと。つまり、倒れた木はお前の手元まで届くから、ぶつからないようにしろよ、という意味です。木を倒れたばあい、木のてっぺんが来るであろう位置に、ロープの端を持って待つ私。父はチェンソーで幹の根元を切りはじめます。これは、なかなかにスリリングでした。


「ひっぱれ!」と父、私がロープを引くと、即、木は倒れて来ました。本当に、私から数センチの辺りにドシン!と。倒れた断面を見て、木目を数える父。このアトリエを建ててからずっと、一緒にいた木ですから、寂しい気持ちが湧いてくるのでした。
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アトリエの辺りは、少し掘ると石がゴロゴロ出てきます。出てきた石を運んで、敷地に積むのが私の役目です。ツルハシで地面を崩し、スコップで掘って、石をより分け、敷地にポイと投げ、ポイと投げしていくのです。
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父は鳥小屋を解体撤去しました。この鳥小屋には銀鶏の銀次が長く住んでいました。20年以上生きた銀次も亡くなり、寂しく空いていた鳥小屋ですが、今回、解体後、新しく建つ鳥小屋には、烏骨鶏のつがいがやって来る予定です。
父の額辺りの白いものは、粉塵用マスクです。「山伏の帽子」と喜んでいる父ですが、マスクは額に当てても役には立たないのだが、と、娘は思いつつシャッターを切るのでした。
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アトリエの敷地には、父の大きな仕事場と、仕上げ部屋、木材小屋、私の画室、倉庫、と5つの建物が建っています。父の仕事場と、私の画室は並んでいるので、仕事場の屋根に登って、父が私の画室の屋根を観察していました。その様子を撮影しようとカメラを向けると、すかさずピシッと手を上げてポーズを取る父です。「共産国の銅像みたいだよ、手を開いてよ」と言うと、キューピーのように指を広げます。ふざけてばかりの父ですが、齢73歳、高所恐怖症です。
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9m近い襖絵を制作するため、アトリエを広げることになりました。アトリエ前には、犬小屋とケージがあったので、それを移動。4mほどの空間となりました。「僕のお家がなくなった」と、シェパードのムツは大変にオカンムリのご様子なので、いつもより、お昼ご飯のおすそ分けを多めにして、許しをこう私なのでした。